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Mexico City 2

いくつも悪い夢を見て、夜中に何度も目が覚めた。
朝になって目が覚めた時、ここがパリのアパートではないことに気づいた。

メキシコシティの街中にある古いホテル。
ラテンアメリカの色彩で塗られた壁や柱。
木製のブライドのすき間に、強い夏の光があふれている。

頭が痛い。夕べのことが思い出せない。テキーラやラムの飲み過ぎなことは確かだろう。

エミールは、ジーンズをはいたままで眠っている。
いつもは、気持ちが悪いからと、どんなに酔っぱらっていても
シャワーを浴びてから着替えて眠るのに。

起き上がろうとすると、足首に激しい痛みが走る。
まいったな、ゆうべ、どこで痛めたんだろう。
今日はアオハカに行こうとエミールと話していたのに。
タクシーにのって、近場でもまわるか。

しばらくして、あれこれ考えるのをやめにした。
このメキシコで、このメキシコシティの古いホテルで、
身動きがとれなくなっているってのも悪くないかも。
エミールは、どうせひとりでも、あちこち歩き回るだろう。

身体のどこかが痛いと、よけいなことを考えなくて済む。
この身体で生きてることを思い出す。

iPodに携帯スピーカーのコードをつなげる。
小さな音でRolling Stonesの〈Filip the Switch〉がはじまる。
頭のうしろで両手を組んで、メキシコの古いホテルの天井を眺める。
やせた身体、深く刻まれた皺、ガイコツみたいな老いた男たちが
異様に精気に満ちた目をぎらつかせて、
電気椅子に座った囚人の歌を演奏している。
ミック・ジャガーが「filip the switch !(スイッチを入れろよ!)」と叫ぶ。

なんだか気分が落ち着いてくる。
もう少し眠ろう。
今度はうまく眠れそうだ。




Mexico City 2























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by ayu_livre | 2007-12-29 23:26