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Los Angels

このところ妻と二人の間ではやっているのが、
眠る前にエリック・ロメールの映画を30分くらいづつ観るというもの。
最初は、「パリのランデブー」を観た。
三話のオムニバスだったので、一夜につき一話づつ観た。
それから、「クレールの膝」を観て、「緑の光線」を観て「獅子座」を観て、
「海辺のポーリーヌ」を観て、四季の物語シリーズを全部観た。

そもそものはじまりは、車ですぐ近くのところに新しくできたモールの
レンタルビデオ店でのこと。
前の晩TVで「ミッション・インポッシブル」をやっていて、
出演していたエマニュエル・ベルアールのすました顔が気になっていた。
彼女の映画を探しがてらフランス映画のコーナーを見ていると
若い男の店員に声をかけられた。

「フランス映画に興味があるの?珍しいね、ロメールは観た?
 観てない?なら、まずは、ロメールを観なきゃ」
どんな映画?と聞くと店員は抱えたDVDをその場に置いて、早口でしゃべり出した。
「いいかい、ロメールの映画の中には、殺人もカーチェイスも爆発もない、
 あんたは、ロメールの映画のストーリーを、じっと静かに追う、
 すると、クスっと笑うシーンに出くわすんだ、
 このクスっが、一回気に入ったら、もうロメールが病み付きになる、間違いない、
 ぜひ、試してもらいたいね」
わかった、試してみるよ、と言って「パリのランデブー」を借りた。

そして、病み付きになった。
妻は、フランスのガイドブックを何冊か買い込んできた。
朝は、テーブルにフランスやパリの地図を広げ、
前の晩眠る前に観たローメル映画のロケ地を確かめながら
フランスパンを食べ、コーヒーにミルクを入れて飲んだ。

調子に乗って、ゴダールやカラックスも観てみたがあんまりよくなかった。

妻のフェイヴァリットは、変わること無くタランティーノの「ジャッキーブラウン」で、
私のフェイヴァリットは、変わること無くタケシキタノの「ソナチネ」である。
ロメールの映画は、一本を選べない。
どの作品も、映画がはじまった途端、
ロメールが生み出す静かで艶かしい時間が流れはじめる。
それだけで、私達は満足してしまう。


Los Angels
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by ayu_livre | 2010-01-16 14:04